恋愛アレルギー
そう言われ、あたしは咳払いをして咲子の隣に座った。


ベンチに降り注いでいる太陽の日が心地よい。


「愛美の悩みはどうせ船見くんのことでしょう?」


あたしは無言でうなづいた。


「今度はどうしたの?」


「あのね、あたし……」


そこまで言って勇気がでなくて口を閉じてしまった。


あたしと船見くんは1度デートをしている。


そこで好きだという気持ちは強くなったし、アレルギーの症状も出ていない。


となると、次に考えることはひとつだけだった。


「船見くんに、告白しようと思うの」


勇気を出して言うと、咲子は一瞬目を大きく見開き、それから両手であたしの頭を抱きしめるようにしてなでた。


「ちょ、ちょっと咲子!」


「ごめんごめん。でも、やっと決意したかって思うと嬉しくて」


咲子はあたしの頭を散々なでてから、ようやく開放してくれた。
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