恋愛アレルギー
悩んで返事ができないでいると、咲子が突然立ち上がった。


「難しいなら、船見くんに直接質問しに行く?」


「え?」


「ほら、早く行くよ!」


戸惑っているあたしの手を掴み、咲子は強引に歩き出した。


本人に直接聞くってどういうこと?


どうやって告白されたら嬉しいですか?


なんて質問をしたら、絶対にあたしの気持ちがバレてしまう!


B組の前まで来たとき、咲子はようやく足を止めてくれた。


変わりにあたしの背中を押す。


「ちょっと待ってよ、質問なんてできるわけないじゃん!」


「どうして?」


「どうしてって、そりゃあ……」


他にクラスメートたちがいる前で堂々と告白のことを話すわけにはいかなくて、口ごもる。


すると咲子は顔を近づけてきた。


「大丈夫だよ。『友達からの相談を受けるとき、どんな方法で相談してほしい?』とか、ちょっと遠まわしに質問すればいいんだから」


咲子にそう言われてあたしは瞬きをした。


ダイレクトに質問するのかと思っていたけれど、違ったみたいだ。


それなら質問もしやすそうだ。

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