恋愛アレルギー
あたしは教室内にいる船見くんへ視線を向けた。


今は窓際の席で友人たちとおしゃべりをしている。


「ほら、大丈夫だから行っておいで」


咲子に再び背中を押され、あたしは船見くんに近づいた。


「日下部さん、どうしたの?」


船見くんがあたしに気がつき、声をかけてくれた。


途端に周りの男子生徒たちから冷やかしの声が上がるが、船見くんが気にしていない様子だ。


「あ、あのちょっと質問なんだけど」


「質問?」


船見くんが首をかしげると、サララサな髪の毛が横に流れる。


「船見くんって友達に相談とかするとき、どんな風に相談するの?」


「相談? どうして?」


船見くんは更に疑問顔になる。


不思議に感じて当然の質問だった。


「し、心理テストだよ」


あたしは咄嗟に嘘をついた。


船見くんは何度か瞬きをして「そうだなぁ。俺は直接相談をするかな。その方が手っ取り早いし、相手の顔を見ながら説明できるから、なんか安心するし」と、答えた。


直接なんだ……。


「で? これってなんの心理テスト?」


「あ、えっと、答えはまた今度ね」


あたしは返事に困り、慌てて自分の席へと戻ったのだった。

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