恋愛アレルギー
☆☆☆

直接気持ちを伝えることなんてできるだろうか?


よりによって一番ハードルが高い告白方法だったので、あたしは頭を抱えていた。


「その感じだとあまりよくない結果だったみたいだね?」


顔を上げるといつの間にか咲子が目の前に立っていた。


「うん……」


「直接がいいって言われた?」


「どうしてわかるの?」


「愛美の様子を見てればわかるよ」


咲子はそう言って笑った。


あたしはそんなにわかりやすく落ち込んでいただろうか。


自分の頬を両手で包み込んだ。


「だけど、頑張るんでしょう?」


そう聞かれてあたしは一瞬とまどい、そしてうなづいた。


アレルギーが出なかったのは船見くんが初めてだ。


このチャンスをみすみす逃すことなんてできない。


付き合うことができなくたって、気持ちを伝えることくらいはしたかった。


「それなら、今から船見くんと一緒に帰ったらどうかな?」


咲子からの提案にあたしは目を見開いて背筋を伸ばした。
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