ドライブスルー彼氏
彼が小屋から出てくるまでの数分間で、あたしは自分の身なりを整えた。


汗をぬぐい、前髪を整えて服装を直す。


そうしていると彼が小屋から出てきてあたしに向けて笑顔を浮かべた。


その笑顔は昔とちっとも変わっていなくて、胸が一杯になっていく。


あたしは彼の笑顔にこたえるように笑顔になった。


「はじめまして。面島靖です」


彼は頭を下げて挨拶をした。


その様子に少し落胆している自分がいた。


小学校の頃の同級生と言っても、彼は転校してしまっているからあたしのことを覚えていないのだ。


「久しぶりだね」


ためしにそういってみると、靖くんは首をかしげてあたしを見つめた。


靖くんにこんなに見つめられたことは初めて、つい視線をそらせてしまった。
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