ドライブスルー彼氏
靖くんも同じように足を止めて、今度は悲しげな笑みを浮かべた。


「俺の両親借金があるんだ。しかも相手は闇金で、俺にまで返済の催促が回ってきた。だからさサッカー部をやめてバイトをしていたんだけど、その程度の金じゃどうにもならない金額なんだ。そんなときにドライブスルー彼氏ってものを知って、もしかしたら援助交際をしてくれる人に出会えるんじゃないかって思って……。バカだよな。そんなことに使うなんて」


早口で説明して苦笑いをする靖くんに胸がギュッと締め付けられるように痛んだ。


靖くんの家がそんな風になっているなんて全然知らなかった。


「借金って、いくらあるの?」


「聞いたって意味ないよ。学生にはどうしようもないくらいの大金だから」


靖くんはそう言って星空を見上げた。


きっと、今日もとても綺麗に星が見えていることだろう。


だけどあたしは同じように見上げることはしなかった。


学生ではどうしようもない金額。


といことは数十万や数百万ではないんだろう。


何千万という単位の借金なのかもしれない。


あたしはキュッと唇を引き結んで靖くんを見つめた。


その視線に気がついて、あたしに視線を戻す。
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