ドライブスルー彼氏
琴葉が言っていたこととはいくらか異なっているが、ドライブスルー彼氏というもの自体は知られているみたいだ。


あたしはゴクリと唾を飲み込んでいた。


その日食べるものにも苦労していた人たちが路上で身売りをしていたことが発端でできた都市伝説……。


その部分に釘付けになってしまった。


確かに、昔の文献などを読んでいたらそういうこともあったということがわかる。


でも、それが現代まで伝わっているとは、どうしても考えにくいことだった。


あたしはまた大きく息を吐き出してスマホを投げ出し、ソファに横になった。


結局有力な手がかりを得ることはできず、調べてわかったのは都市伝説のことだけだった。


伝説はだたの伝説だ。


事実とは大きく異なるところがあっても不思議じゃない。


琴葉の言っていたことを信用したいという思いもあるけれど、考えれば考えるほど荒唐無稽は話で、悩んでいるのもバカらしくなってきてしまった。


きっと琴葉はあたしをからかって遊んだだけなんだ。


昨日まで彼氏がほしいと嘆いていた自分が、翌朝には彼氏ができたと言っている。


そうすれば、あたしはきっと驚くだろうと考えたんだ。


そう結論付けたあたしは途端に眠気に襲われて、そのまま目を閉じたのだった。
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