ドライブスルー彼氏
「そうなんだね。まぁ、あたしよりも里奈のほうがずっとその靖って人のことを理解しているんだから、信用できるならそれでいいともうよ」


琴葉の意見にあたしはホッと胸を撫で下ろした。


またドライブスルー彼氏に行ってしまったことを怒ると思っていたけれど、事情を知ったからかそういうこともなかった。


琴葉に話をしたのは、自分自身後ろめたい気分があったからだ。


昨日約束したばかりのことを破ってしまったから。


でも、こうしてあたしの気持ちを汲んでくれる琴葉に心から感謝したい気分だ。


そうしているタイミングで靖くんからのメッセージが届いた。


《靖:今日の放課後、デートしない?》


その文面にドクンッと心臓が高鳴った。


当時の気持ちが一瞬にしてよみがえってくる。


教室の窓からジッと靖くんの姿を見ていたあの頃。


そのあたしが今、靖くんとデートの約束をしているのだ。


なんだか信じられない思いで一杯だ。


今日の放課後は2人でどこに行こうかな……。


あたしはスマホを握り締めてそう考えたのだった。
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