ドライブスルー彼氏
☆☆☆

男はモニターで見るよりも若々しく感じられた。


名前は大谷洋介というらしい。


本名かどうかはわからない。


あたしは本郷ミクという偽名を咄嗟に作って自己紹介をした。


「ミクちゃんか。いい名前だね」


大谷さんはそう言ってあたしの体を上から下まで眺めまわした。


なんだか気分が悪くて、あたしは両手で自分の体を抱きしめた。


そして大谷さんが持っているバッグに注目した。


一見本物に見えるけれど、どうだろうか?


あたしは本物を見たことがないからわからない。


「これ、気になるかい?」


あまりにジロジロ見すぎたせいか、大谷さんがあたしにバッグを見せてきた。


「いえ、ごめんなさい」


「いいんだよ。どうぞ、見てごらん」


大谷さんはそう言うとバッグを開いて中身まで見せてくれた。
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