ドライブスルー彼氏
『あたしでいいの?』


『当たり前だろ。最初の頃は迷惑をかけるかもしれないけど、絶対に幸せにするから』


それはまるでプロポーズのような言葉で、天にも昇る気分になった。


あたしはもちろんその告白をOKして、晴れて靖くんと恋人同士になったのだった。


「里奈、なんか急に老けた?」


登校してきたあたしへ向けて琴葉が容赦のない言葉を投げかけてくる。


「そんなわけないでしょう?」


答えながら手鏡で自分の顔を確認すると、確かに目のしたにクマができていた。


さすがによく眠ることができなかったからだ。


「それならいいんだけど?」


琴葉は首をかしげている。


今度は絶対に琴葉にも言うことができないことだ。


申しわけない気持ちが広がっていくけれど、あたしは自分の気持ちを押し殺したのだった。
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