ドライブスルー彼氏
そんな生活が2ヶ月ほど続いたときだった。


「なにかあった?」


学校内で突然琴葉にそう聞かれて、あたしはたじろいだ。


琴葉の表情はとても真剣で、まるであたしのしていることを見透かしているようにも見えた。


「な、なにかって?」


「最近すごく痩せたよね? それに目の下のクマだって取れてない」


琴葉は的確に指摘をしてくる。


確かに、琴葉が言うとおりここ最近まともにご飯を食べていなかった。


食べようとしても胃が受け付けず、戻してしまうのだ。


元々それほど肉付きがいい体じゃなかったから、骨が浮き出してくるのに時間はかからなかった。


当然、両親たちにも心配されていることだった。


「ダイエットしてるんだよ」


あたしは両親についたのと同じ嘘を琴葉についた。


胸がズキンッと痛む。


こんなあたしでもまだ胸が痛むことができるのだと、ちょっと驚いた。


大谷さんに初体験をささげてからのあたしは、なにもかもすっかり汚れてしまったと自分で思い込んでいた。
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