ドライブスルー彼氏
「や、靖くん、この人たち誰?」


質問しても返事はなかった。


みんな紙の色が赤かったり、鼻にピアスをつけていたりする。


年齢は同い年くらいに見えるけれど、学校には行っていなさそうな雰囲気がしていた。


「ばっちり撮影したぞ。最高じゃん!」


1人の男がスマホで動画を流している。


それはついさっき靖くんが明久くんをさしたときのものだった。


それを見てまた全身が冷たくなっていくのを感じた。


この人たち全部見ていたの?


見ていて、なにも言わなかったの?


その神経が信じられなくて絶句してしまう。


唖然としていると、気がつけば明久くんがあたしの前に立っていた。


あたしに背を向け、まるで守るような格好を取っている。


「あ、そうだ里奈。月30万の愛人契約ご苦労さん。見ての通り、借金とか嘘だから安心してな」


靖くんが軽い口調で言う。


「え……でも、バイトをしてるんだよね?」
< 145 / 159 >

この作品をシェア

pagetop