ドライブスルー彼氏
「お腹は空いてる?」


「うん」


本当は緊張で食事所ではなかったけれど、間を持たせるためにうなづいた。


「って言っても、ファミレスとかだけどいい?」


「もちろんだよ」


相手もあたしも学生だ。


高いレストランなんて期待していないし、そんな場所行った事もないからどうすればいいかわからない。


あたしたちは肩を並べて近くのファミレスへと向かった。


こうして男の子と2人で歩いているなんて、本当に夢のようだ。


まわりから見たら学生カップルに見えるだろうか?


そんな期待をしながらファミレスに入ると、沢山のお客さんでにぎわっていた。


休日の昼間だからだ。


人の目が少し気になると感じながらも、2人で席についてメニューを見る。


そのなんでもない動作ひとつひとつがすべて新鮮だった。


「昨日は聞けなかったけど、質問してもいい?」


注文を終えてから明久くんが言った。


「なに?」


「里奈ちゃんはどうしてドライブスルー彼氏を使おうと思ったの?」
< 36 / 159 >

この作品をシェア

pagetop