ドライブスルー彼氏
そして少し待って出てきたのは長身でカッコイイ男の子だった。


年齢は18歳と書かれていたはずだ。


彼は出てきてすぐににこやかな笑顔を浮かべた。


その笑顔はパネル通りのものだ。


「はじめまして。俺、峰岸隆です」


彼はそう言うと、右手を差し出してきた。


ぼーっと彼の顔に見とれていたあたしは、あわてて手の平野汗を服でぬぐい、彼と握手をした。


「君は?」


「あ、あたしは松原里奈です」


自己紹介をする声がかすかに震えてしまう。


これだけカッコイイ人と面と向かって会話したことなんて1度もない。


緊張ですぐに汗が浮かんできてしまう。


「里奈ちゃんって呼んでもいい?」


「は、はい!」


「俺のことは呼び捨てでいいから」


そう言われても、緊張してとても呼び捨てになんてできそうになかった。


手始めに、隆さんと呼ぶことになった。


相手のほうが1つ年上だし、そっちのほうが緊張しないから。
< 57 / 159 >

この作品をシェア

pagetop