ドライブスルー彼氏
「デートはどうする?」


「あ、えっと。できれば1日ゆっくりしたいです」


これはここに来るまでに決めていたことだった。


琴葉みたいにその日のうちにデートすることもできるんだろうけれど、やはり昼間ゆっくりと会話をして、見極めたかった。


「わかった。明日は学校だよね? 放課後は開いてる?」


聞かれて、あたしは大きくうなづいた。


たとえ予定があったとしても、隆のためなら空けたと思う。


「じゃあ、明日の放課後デートしよう」


放課後デート!


それは憧れていたデートのひとつだった。


放課後になって手をつないで教室を出るとか、彼氏が他の学校なら待ち合わせをして一緒に遊びにいくとか。


何度も妄想して琴葉と2人で楽しんだことがある。


それが今現実のものになろうとしているのだ。


胸の高鳴りを抑えられなくて、服の上から胸をキュッと握り締めた。


「今日は家まで送って帰るよ。行こう」


「は、はい!」


あたしは無駄に元気よくうなづいた。


これだよこれ!


あたしが望んでいた恋愛は!!
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