ドライブスルー彼氏
「今度はどんな人?」


「大岡高校の3年生だよ。峰岸隆さんって言うの」


「大岡高校ってカッコイイ生徒が多いって言うよね」


「らしいね! 3年生だからこれから受験で忙しくなるみたいなんだけど、そんなときに支えてくれる彼女を探してたみたい」


「へぇ。受験生なのにドライブスルー彼氏を利用しているなんて余裕なんだなぁと思ったけど、そういうことか」


琴葉は納得したように何度もうなづいた。


受験や就職戦争の中でだって、息抜きは必要だ。


周りがライバルだらけになってしまう時期に、心休まる存在がいればそれだけで随分と違ってくるはずだ。


隆さんはそんな出会いを求めているんだと思う。


あたしが琴葉に今日がデートの日だと伝えると、琴葉は張り切った様子でカバンからポーチを取り出して戻ってきた。


「よし! それならとびきり可愛くしないとね!」


そう言って、ポーチの中からヘアゴムやヘアピンを取り出す。


「あたしにまかせて!」


そう言うと、琴葉はなれた手つきで、あたしの髪の毛をイジリはじめたのだった。
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