ドライブスルー彼氏
「ごめん。あまり楽しくなかったよね」
コーヒー店を出て隆さんが申し訳なさそうな顔で言った。
「そ、そんなことないです! あたしがつい、ぼーっとしちゃったから……」
慌ててそう言うが、隆さんは難しそうな顔をしている。
外はすでにオレンジ色に包まれていて、そろそろ帰らないといけない時間だ。
「あの、メッセージ交換のことなんだけどさ」
歩きながらそう言われてハッと顔を上げた。
そうだ。
ここでメッセージ交換をするかどうかにかかっているんだ。
隆さんの目指している場所の高さに驚き、すっかりそんなことは忘れてしまっていた。
「あ、はい」
あたしはすぐにスマホを取り出そうとしたが、それは隆さんの言葉によってさえぎられた。
「今回はやめておこうと思うんだ」
全身がスーッと寒くなっていくのを感じた。
背の高い隆さんの顔は夕焼けの太陽に照らされて逆光になり、どんな表情をしているのかわからない。
「そう……ですか」
「ごめんね。今日は楽しかった、ありがとう」
隆さんはそう言うと、あたしに背中を向けて歩き出した。
メッセージ交換に失敗すると、もう家に送ってもらうこともできないんだとあたしはこのとき初めて知ったのだった。
コーヒー店を出て隆さんが申し訳なさそうな顔で言った。
「そ、そんなことないです! あたしがつい、ぼーっとしちゃったから……」
慌ててそう言うが、隆さんは難しそうな顔をしている。
外はすでにオレンジ色に包まれていて、そろそろ帰らないといけない時間だ。
「あの、メッセージ交換のことなんだけどさ」
歩きながらそう言われてハッと顔を上げた。
そうだ。
ここでメッセージ交換をするかどうかにかかっているんだ。
隆さんの目指している場所の高さに驚き、すっかりそんなことは忘れてしまっていた。
「あ、はい」
あたしはすぐにスマホを取り出そうとしたが、それは隆さんの言葉によってさえぎられた。
「今回はやめておこうと思うんだ」
全身がスーッと寒くなっていくのを感じた。
背の高い隆さんの顔は夕焼けの太陽に照らされて逆光になり、どんな表情をしているのかわからない。
「そう……ですか」
「ごめんね。今日は楽しかった、ありがとう」
隆さんはそう言うと、あたしに背中を向けて歩き出した。
メッセージ交換に失敗すると、もう家に送ってもらうこともできないんだとあたしはこのとき初めて知ったのだった。