SNSストーカー
空き地へ戻ったとき、俺は手に持っている缶に視線を落とした。


甘い酒だが、アルコールは9パーセントと強いものだ。


これを2人に飲ませることができれば……。


振り向いて、2人へ向けて笑いかける。


その笑顔が引きつっているのが自分でも理解できた。


笑顔なんてめったに見せないから、笑い方があっているのかどうかも、自分じゃわからない。


「なっちゃんが戻ってくるまでここで待っていようよ」


そう言って俺は缶のプルタブを開けた。


プシュッといい音がして、甘い香りが漂う。


「はいこれ、あげる」


俺は心に酒を手渡した。


「え、でもこれ夏美にお土産だったんでしょう?」


「い、いいんだ。ぬるくなると、まずくなっちゃうし、また買いに行けばいいから」


我ながら苦しい言い訳をして、飲むように促す。


心は一瞬彩へ視線を向けた。


「もらいなよ。今あけたばかりだし、ただのジュースでしょう?」


「うん」


心はパッケージをしっかり見ることなく、口をつける。
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