SNSストーカー
「大丈夫だから」


裕也があたしの手を強く握り締めてくれる。


「あの男は?」


聞くと、裕也は左右に首を振った。


あたしが振り下ろしたナイフは男の肩を掠めただけだったらしく、男はそのまま逃げていってしまったらしいのだ。


その後、裕也がすぐに警察を呼んでくれて、あたしたちは一旦家に運ばれてきた。


「逃げたって……」


ということは、あの男はまだ捕まっていないということだ。


その事実に全身から血の気が引いていく。


「心配しなくていい。心と彩を監禁までしてるんだ。警察はすぐに捜査してくれるって言ってる」


「そうなんだ……」


すでに実害が出ているということで、警察もほっとくわけにはいかないみたいだ。


「泉夏美さん。お話を聞かせてもらえますか?」


警察官にそういわれ、あたしは「はい」と、うなづいたのだった。
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