SNSストーカー
せっかく両思いになれたのに、これじゃちっとも楽しくないはずだ。


昨日は命の危険にまでさらされたんだから。


落ち込むあたしの体を裕也は優しく抱きしめてくれた。


そのぬくもりに胸がキュンッと悲鳴を上げる。


こんなときなのに、ときめいてしまった。


「迷惑だなんて思ってないから」


裕也があたしの耳元でささやいた。


その吐息がくすぐったくて笑ってしまう。


身をよじって逃げようとすると、更に強く抱きしめられて引き止められた。


裕也の顔を見つめると熱い吐息がかかりそうな距離にある。


心臓がドクドクと早鐘を打ち始めて、裕也の顔を真っ直ぐに見ていられなくなる。


そして唇が近づいていった、そのときだった。


あたしのスマホが震えた。


ブーッブーッと、普段はあまり使わなくなったメールを受信する音がする。


あたしは裕也から身を離してスマホを見つめた。


誰からのメールだろう?


首をかしげている間に、更に2通、3通とメールが届く。


あたしと裕也は目を見交わせた。
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