SNSストーカー
「やっと2人になれたね。ずっと、こうして話をしたかったのに、邪魔が入ってたもんね」


俺はなっちゃんに手を差し出す。


当然握ってくれるはずのそれは、なっちゃんが逃げたことによって空振りで終わってしまった。


「今は2人しかいないんだから、照れなくていいんだよ?」


「あ、あたしは……あんたなんか、好きじゃない!!」


なっちゃんが大声を張り上げる。


その目には涙が滲んでいる。


誰かのためにそんな嘘をついているんだろうか?


まだ、俺たちのことを邪魔する誰かがいるんだろうか?


「どうして、そんな嘘をつくんだ?」


いつもそうだった。


俺が好きになる相手はみんな、嘘をつく。


みんな俺のことが好きなくせに、好きじゃないと悲鳴を上げて拒否をする。


もしかしてそれが彼女たちなりの愛情表現なのかもしれないと思っていたけれど、俺だって手をつないで歩いたりしてみたい。


それなのに、彼女たちはそれを拒む。


どうしてだ?


「なっちゃんは、違うよね?」


俺の質問になっちゃんは眉間にシワを寄せる。


「なっちゃんは、あの子たちとは違うよね? 俺に気を持たせておいて、突き放す。あんなやつらとは違うよね?」
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