SNSストーカー
休憩時間になると、女子たちはすぐに彼女の周りに集まり始めた。


今日が彼女の誕生日であること、そして彼女がクラスの人気者だからだ。


『よっちゃん、これあたしからの誕生日プレゼント』


『ありがとう』


『これは俺から』


次々に渡されるプレゼントに彼女は笑顔を崩さない。


色とりどりのラッピングを見て、自分のプレゼントが安っぽく見えてくる。


だけどきっと彼女は俺のプレゼントを待っているはずだ。


だって彼女は俺のことが好きなんだから。


勇気を出して、俺は輪の中に一歩足を踏み入れた。


途端に周りの女子が俺から離れた。


顔をしかめて、鼻をつまんでいる。


真ん中にいる彼女は俺に気がついて一瞬目を見開いた。


しかし、笑顔は浮かべたままだ。


『これ、プレゼント』


そう言って、一本のエンピツを両手で差し出した。


一瞬クラス内が静まりかえり、次の瞬間大きな笑い声がクラス内に響いていた。


みんなが俺を見て笑っている。


それがプレゼント?


エンピツ一本って!


仕方ないよ、あいつの家すげー貧乏だから!
< 128 / 141 >

この作品をシェア

pagetop