SNSストーカー
自分の部屋に戻ると父親の威圧感から逃れることはできる。


けれど、汚れはさほど変わらない。


この前破り捨てた愛ちゃんのポスターは床に散らばったままだし、漫画やゲームや参考書が一緒くたになって積んである。


自分ではこれでも頑張って片づけをしているほうなのだけれど、どうやら人は違うらしい。


家庭訪問に訪れる教師たちはこぞってみんな同じように顔をしかめ、鼻をつまみ、そしてそそくさと帰っていってしまう。


小学校5年生の頃の担任の先生が我が家のことを気にして掃除をしにきてくれたことがある。


だけどそのときは父親がいて、先生を追い返してしまったのだ。


せっかく部屋が綺麗になるチャンスを父親はみすみす捨ててしまった。


その時言われた言葉が『人を頼るな』だった。


人に頼らないからこんなことになってしまっているのに、当時の俺には父親の言葉は絶対だった。


うなづくしか他ない。


それから俺は余計に無口ににって言った。


人に頼らないために、余計なことを口にしなくなったのだ。
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