SNSストーカー
菓子パンを一口食べたときだった。


ベッド横の窓ガラスにコツンッとなにかがぶつかる音がして、俺はそとを確認した。


下をのぞき見てみると昨日の3人組の姿があった。


3人は暇そうに体を左右に揺らして、俺が降りていくのを待っている。


俺は机の上に置いておいた財布を掴むと部屋を出た。


父親を刺激しないようにリビングを通り抜けて、3人の下へ急ぐ。


「よぉ、いつもサンキューな」


1人がそう言うと、当然のように俺のサイフを奪い取り、中から一万円札を一枚抜き取った。


するともう俺に用はない。


3人はすぐに俺に背を向けて歩き出した。


「バイト先の店長がマジで嫌なヤツでさぁ。俺がレジ金盗んでるとか言うんだよ」


「お前は実際に盗んでるだろうが」


大声で笑いながら帰っていく3人の後ろ姿を見つめる。


俺はレジの金なんて盗んだりしない。


ちゃんと真面目に働いて稼いだ金を、あいつらは当然のように奪っていく。


今月も俺の食費は一万円以内に抑えないといけないみたいだ。


軽くため息を吐き出して部屋へと戻ったのだった。
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