SNSストーカー
神様は不公平だと思っていた。


俺みたいなヤツがいる反面、さっきの3人みたいなヤツもいる。


強い者は弱い者から、あらゆるものを搾取していく。


それが当然みたいな顔をして。


そして弱いものは、それを我慢していなければならない。


人間界で存在する弱肉強食は非情だ。


「誰が来てたんだ」


赤い顔をして酒の匂いを振りまきながら父親が問いかけてきた。


俺は自分の部屋に向かいながら「誰だっていいだろ」と答える。


その瞬間、自分自身で驚き、立ち止まっていた。


俺、今なんて言った?


自分に質問している間に背後に気配があって振りむいた。


同時に頬を殴られて横倒しに倒れる。


臭い息を吐きながら父親が俺を見下ろしている。


「なんだぁ? その口の利き方は」


「な、なんでもないんだ。ただの友達が来ていただけなんだよ」


俺は必死に説明する。


笑顔を貼り付けて、これ以上父親の機嫌を損なわないように。


父親はユラリと近づいてきて倒れこんでいる俺の脚を思いっきり踏みつけた。


「ぐっ!」


くぐもった悲鳴を上げて痛みに耐える。
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