SNSストーカー
父親は俺の足を力いっぱい踏みつけたまま、グリグリとねじってきた。


骨に振動が伝わって痺れを感じる。


「もう二度とナメた口利くなよ」


「……はい」


素直に謝ると、父親はどうにか俺を解放してくれた。


少し返事の仕方が悪いとすぐにこれだ。


立ち上がると足に痛みを感じたが、これを伝えると余計にキレられるとわかっている。


俺は踏みつけられたほうの足をひきずりながら自分の部屋へと戻って行った。


ドアを閉めるとようやく痛みに顔をしかめた。


ここだけは自分の空間だ。


誰にも邪魔されない、大切な聖域。


心を落ち着かせるためベッドに座り、大きく深呼吸をする。


ろくに洗濯されていない、ジメジメとしたカギくさい布団のにおいがする。


みんなが顔をしかめるような匂いでも、俺にとってはこれが落ち着ける匂いになっていた。


俺は布団に顔までもぐりこんできつく目を閉じたのだった。
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