SNSストーカー
痛みに顔をしかめながらゴミ袋の中を確認してみると、父親宛のハガキが入っていることにきがついた。


それを取り出すと督促状だった。


父親は俺からハガキを奪い取るとすぐそばに胡坐をかいて座った。


そんなに大切なものだとは思えないし、本当にそんなに大切ならちゃんと保管しておけばいいのに。


そう思い、つい睨みつけてしまった。


それを目ざとく感じ取ってこちらへ視線を向ける父親。


咄嗟に視線を外したけれど、遅かった。


「なんだその顔は!」


バカの一つ覚えみたいに怒鳴り声をあげ、俺の横腹を蹴り上げる。


俺はうめき声を上げてまた倒れこんだ。


どれだけ殴られたり蹴られたりしても痛みになれない自分の体がうらめしい。


少しでもマシだと感じられるようになれば、どれほど楽だろうか。


「バカにしやがって……」


どうやら今日は会社でよほど嫌なことがあったみたいだ。


こういう時には近づかないほうがいい。


俺は這うようにして自分の部屋へと向かった。


なっちゃんに会いにいけないのは残念だけれど、今日は諦めてもらうしかない。


「どこに行くんだよ。まだ話は終わってねぇぞ」


父親に足首を掴まれて「ヒッ」と小さく悲鳴を上げてしまった。
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