SNSストーカー
ここから逃げないと……!


湧き上がる焦燥感に急かされるように、俺は父親の体を突き飛ばしてした。


そのまま自室へ駆け込み、自分でつけた簡易的な鍵をかけた。


父親がすぐにヘアのドアを開けようとする。


あのバカ力だ。


いつかドアを破られてしまうかもしれない。


そうなる前に脱出しないと、俺は本当に殺されてしまう。


俺は窓を開けて、シーツの端を机にくくりつけた。


長さは短いけれどそのまま飛び降りるよりはマシなはずだ。


両手でシーツをいつく握り締めて、体を窓の外へ出した。


夜風が冷たく頬をなでていく。


うまく塀の上に足をかけることができて、シーツから手を離した。


ここからは時間の勝負だ。


俺は塀から飛び降りて駆け出した。


行き先はひとつしかない。


学校にも家にも居場所がない俺の、たったひとつの居場所。


誰も認めてくれない俺を認めてくれる子がいるところ。


なっちゃんの家だ……。
< 65 / 141 >

この作品をシェア

pagetop