SNSストーカー
一見して普通ではないのはわかった。


浮浪者とか、そういう人に近い存在だ。


こんな知り合いあたしにはいないし、両親の知り合いでもなさそうだ。


誰……?


緊張してゴクリと唾を飲み込む。


男はカメラに気がついた様子で視線をこちらへ向けてきた。


つりあがっため。


血走った白目。


そして歪んで微笑んだ口元。


それらを見た瞬間背筋がゾクリと寒くなり、モニターから離れていた。


足音を殺してテレビと電気を消し、ソファの影に身を隠した。


心臓はドッドッと早鐘を打ち、その音が外にいる男にも聞こえてしまわないか、不安になるほどだった。


何度かインターホンが鳴ったが無視していると、玄関から足音が遠ざかっていくのが聞こえてきた。


モニターを確認すると、男が帰っていく姿が映っている。


モニターからその姿が完全に消えると、ホッと息を吐き出してその場に座り込んでしまった。
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