SNSストーカー
「あ、いや、なんでもないの」


慌てて取り繕うとしたけれど、遅かった。


受話器の向こうには彩も一緒にいるようで『裕也と夏美がどうして一緒にいるの!?』と、騒いでいる。


これは黙っていたほうが余計に怪しまれてしまうかもしれない。


困ってしまって裕也を見ると「事情を説明しよう」と、言われた。


変に隠すよりもそっちのほうがよさそうだ。


「実は、ちょっと事情があって」


『事情は夏美の家で聞くから、絶対に逃げないでよ!』


心は叫ぶようにそう言って、電話は強引に切られてしまったのだった。


「2人とも今から家に来るってさ」


あたしは軽くため息を吐いて言った。
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