カフェ黒猫の秘密

この穏やかで犯罪という言葉とは無縁そうなある街の片隅に、小さなカフェがある。カフェの名前は黒猫。木造の店内にはおしゃれなランプなどが置かれ、とても落ち着いた雰囲気だ。

そんな大人びた空気のカフェだからか、このカフェにやってくるお客さんはパソコンを手に仕事をする人、コーヒーを楽しみながら読書をする人などが多い。

カランコロン、とドアにつけられたベルが鳴る。お客さんが来たのだ。大学生でこのカフェでアルバイトをしているシュウは「いらっしゃいませ」と言い、お客さんを席に案内する。

「シュウ、やっとお客さん来た感じ？」

キッチンにいた友達のトモヤがあくびをしながらやって来る。シュウは「おい！」と注意するも、トモヤは「ずっと暇だったからさ〜」と体を伸ばした。

今日はいつもよりカフェに来るお客さんが少ない。土曜日で仕事が休みだからかもしれない。ランチタイムになっても席は空いていて、さっきやっとお客さんが入ったばかりだ。