カフェ黒猫の秘密

「今日はもうお客さんは来ないかもね。早めにお店閉めちゃおうかな〜」

シュウとトモヤに、艶やかな美しい黒髪を束ねたエプロン姿の女性が言う。このカフェの店主であるナツメだ。ナツメがそう言った刹那、トモヤの目が輝く。

「早めに終わるってことは、あの時間が楽しめますね！」

トモヤの言葉にナツメが頷き、シュウの心がドクンと音を立てる。わくわくする気持ちが湧き上がり、仕事中だからと張り付けてある真面目な顔が崩れてしまいそうになった。

このカフェには、従業員しか知らない秘密の時間がある。その時間が来るのを心から楽しみにしながら、三人は少ないお客さんにコーヒーやケーキを運んだ。



そして迎えた午後五時。いつもより一時間早くカフェは閉店し、カーテンが閉められていく。しかし、お店の電気が消されることはない。

「ナツメさん、トモヤ、コーヒー淹れるね」

シュウがそう言うと、二人は「よろしく」と笑顔になる。これからあの秘密の時間が始まるのだ。