政略夫婦の懐妊一夜~身ごもったら御曹司に愛し尽くされました~

今度はベッドが音を立て、大きく軋む。
こうなると私の心臓は暴れだし、体が震えてくる。

気配が近付き、私と同じシャンプーの香りがふわりと漂ったかと思うと、耳元で「起きてんだろ?」とはっきり声がした。

観念してゆっくりと、控えめに夏樹の方へ体を向ける。
部屋着でベッドに座っていた彼は、長い指で私の前髪に触れた。

「今日もするの……?」

私は尋ねる。昨夜も、その前も。その前の前も。ずっとだ。
夏樹の逞しくもスマートな体がさらに乗り上げ、私に覆い被さる。

「毎回聞くなよ。毎日するんだよ」

夏樹の艶のある襟までの黒髪は、お風呂上がりの今はサラリと垂れている。
前髪から覗くギラギラとした雄の瞳、整った目鼻。
捉えられた私はゴクリと唾を呑み込んだ。

見つめ合って一応の了解を取り合った私たちは、ゆっくりと唇を重ね始める。
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