政略夫婦の懐妊一夜~身ごもったら御曹司に愛し尽くされました~
子作りをしていたのだからいつ妊娠したっておかしくなかったが、いざしているとわかると空に舞い上がりそうなくらいの興奮が湧いてくる。
なにより、夏樹が同じくらい興奮しているのが、胸が震えるほどうれしくてたまらない。
「ホントにできたね……」
なぜだろう、涙が出てくる。夏樹の顔を見る前までどんな気持ちだったか思い出せない。
「あー、ヤバい、桃香ぁー……」
「えっ!?」
両腕を広げた夏樹はしっかりと私を包み、隙間なく密着しながら頬ずりをしてきた。
体は固くなるが、やがてじんわりと溶けていく。
「な、夏樹……?」
「桃香が俺の子妊娠してるとか、ヤバいって……」
ヤバいのはこっちだ。
今度は問答無用で、まるでお祝いかお礼をされているような晴々しいキスをされる。
「ていうか、ひとりで調べんなよ……。俺に相談しろって」
「あ、うん……ごめん」
うれしすぎて胸がいっぱいで、今はとても憎まれ口なんて利けない。身籠ったことを、大好きな夏樹に喜んでもらえた。
「病院は俺も行くから、予定立てよう」
「うん」
「……いや本当にヤバい。俺とお前の子とか、絶対かわいいし面白いじゃん」
「う、ん。ふふ。うん」
夏樹の毒気のない笑顔に、さっきまでの不安はどこかへ飛んでいってしまった。こんなに喜んでくれるなんて。幸せすぎて、死んじゃいそうだ。
その夜は、夏樹に腕枕をしてもらいながら話しているうちに、いつのまにか眠りに落ちていた。