政略夫婦の懐妊一夜~身ごもったら御曹司に愛し尽くされました~

俺は寝返りを打って枕元のスマホを手に取り、フォトアプリを開いた。フォルダに分けて保存してある結婚式の写真を選択し、フルサイズにする。

真っ白なシフォンのウェディングドレス姿で照れ笑いをする桃香が映っている。

背景は窓の外の光が差し込む新郎新婦の控え室で、俺の母親が作った白いブーケを目を細めて眺めていた桃香を、つい、『撮らせろ』と言ってシャッターを切ったのだ。

俺の覚えているかぎりで、人生最高の瞬間だった。

物心ついた頃から桃香がそばにいて、俺は周りにいる女に興味が湧かなかった。父親の言う通り、桃香よりいい女だと思える相手が現れなかったからだ。
両親を説得したりこの腐れ縁を切ってまで、桃香以外を選ぶ理由もない。

昔はその程度の気持ちだったが、中学に上がった頃から、桃香を見る目が変わっていった。
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