政略夫婦の懐妊一夜~身ごもったら御曹司に愛し尽くされました~
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お祝い事で使う料亭に、いつもの六人が集まった。
傷ひとつないピカピカの畳に敷かれた座布団に各々座っているのは、私と、私の両親、向かいに夏樹と、夏樹のご両親だ。
「あらぁ、桃香ちゃん。なんだか綺麗になったんじゃない?」
お義母さんの人差し指が、お刺身や天ぷらのお皿が並べられた低いテーブルの上を通って私の肌をつつき、笑顔を浮かべている。
「まあそんな。おばさま、本当ですか?」
「すごく肌ツヤがいいわ。あらあら、うちの夏樹と楽しく暮らしているからかしら」
夏樹を盗み見る。とてもいい笑顔で「そうだな、楽しくやってる」とつぶやいており、私も同じ笑みを浮かべた。
「はい。夏樹さんはいつも私を気遣ってくれますし、趣味も食べ物の好みも合いますから。まだ三か月ですが、とっても楽しい結婚生活を送っています」
「ふふふ、桃香ちゃんと夏樹は結婚してからは三か月かもしれないけど、生まれた時から一緒なんだから。合うに決まっているわよね」
「ええ、そうですね」
おばさまとうちの母がホホホと笑い合い、おじさまもうちの父もハハハと加わる。
「桃香さんと結婚できた俺は幸せ者です。な、桃香。出会った頃からずっと綺麗だよ。いや、今が一番かな」
「うふふ、ありがとう。夏樹」
私と夏樹も、見つめ合って微笑んでみせる。