政略夫婦の懐妊一夜~身ごもったら御曹司に愛し尽くされました~
夏樹が同席し、医師から今後は錠剤を注射に変える旨の説明を受けた。
また、食事と体重の管理には配偶者の協力が不可欠だからきちんと頼るようにとも説明され、私は隣で真面目に話を聞く夏樹に申し訳ない気持ちでいっぱいになる。
家に帰る途中で野菜中心のメニューを取り揃えた総菜店に寄った。
夏樹は病院でもらった献立の目安と見比べながら、一緒に食事メニューを考えてくれる。
「歯ごたえがあれば腹にたまるんじゃないか。あ、これとかウマそうだな」
「うん。美味しそう」
「じゃあ買ってくか。あ、買いだめると一気に食いたくなる? それなら何回も来るけど」
そこまでは大丈夫、と私は機嫌よく首を横に振った。
隠さなくていいのは、すごく、楽だ。どうして今までコソコソ隠れて孤独に戦っていたんだろう。
夏樹がいると心強い。そんなの昔からわかっていたことなのに、つまらない意地を張っていた。