政略夫婦の懐妊一夜~身ごもったら御曹司に愛し尽くされました~


自宅に到着し、袋からプラスチックに入れられた惣菜を出し、キッチンへ持っていく。

ネクタイを外す夏樹に「今日はこのまま家にいるよ」と軽く言われ、私はありがたく思い、うなずいた。
気を失ったなんて、自分でも驚いている。このまま仕事に戻ると言われて置いて行かれたら、正直不安だ。

「あ、私、先に美砂に電話しとこうかな。無事に目が覚めましたって」

ふいに思いつき、お皿を出す手を止めた。
美砂も心配しているだろう。

「ああ。それがいい」

ソファに置いたハンドバッグからスマホを取り出そうとキッチンから出たところで、夏樹も同じ動きを見せる。
仕事用の鞄のポケットに入れていたスマホを抜き取った。

「俺も、会社の人に連絡してくる。奥さん無事だったって」

「あ……うん。ごめんね」

「なに謝ってんだよ。桃香の体のことなら俺だって当事者なんだ、そんな顔すんな」

妙な言い回しにドキンと胸が鳴り、ひょうひょうとリビングを出て行く夏樹を目で見送った。
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