政略夫婦の懐妊一夜~身ごもったら御曹司に愛し尽くされました~
6.今までもこれからも
夏樹はすぐに、助産師さんをひとり連れて戻ってきた。
入院初日から私を担当してくれている若い助産師さんで、彼女のいつもと変わらない笑顔を見て私は微かに安堵する。
「お腹痛くなってきましたー?」
「はい……」
助産師さんは点滴の様子を確認し、パジャマの上から私の腹部に触れてウンウンとうなずく。
そして、ベッド脇に置いてあるお腹の内部の様子を探るNSTという機械を私に装着した。
助産師さんは何度か部屋を出たり戻ったりを繰り返し、数値の波を見てまたウンウンとうなずく。
「陣痛来てますね」
「やっぱり……」
「張り止めの点滴が効かなくなってきてるので、どうするか先生と相談しましょう」
新たに、妊娠発覚からずっとお世話になっている女性医師に呼ばれ、内診室へと移動する。
夏樹は「内診しますので」と助産師さんに止められ、彼との間はドアで仕切られた。
夏樹の顔が見えなくなった瞬間に不安が募る。