綾取る僕ら
車内
土曜日の野球。
中高バスケ部だった俺は、なかなか気が重い。
適当に男女混合で練習して、チーム分けして試合。
終わったらみんなで飯食いに行くのが決まりだった。
仁さんの車の助手席に麻莉姉。
後部座席にゴンさんと俺。
ギュウギュウになって車に揺られる。
「今日何人くらい人集まんのかな」なんて適当な会話を繋ぎながら到着までの時間を潰していた。
「そういえばさ」と大きなゴンさんが俺に向かって口を開く。
「この間、俺ん家で飲んだじゃん」
その言葉が異様に車内に響いた。
「この間って」
「飲み会の後」
ゴンさんの呑気な声。
どうしよう。
気のせいか、仁さんと麻莉姉が珍しくおとなしい。
聞き耳を立ててるようにも感じる。
「はい」
「あん時、龍平が言ってた動画、見つけたのよ」
「ああ、なんか言ってましたね、そういえば」
そう返事しながら頭の中がパニックになる。
どうしよう。
飲み会の後は、仁さんは俺の家に泊まってるってことになってる。
なぜか俺が唾を飲んだ。
麻莉姉が隣の仁さんの方を見る。
「仁もゴンさん家行ってたの?」
やばい。
今の仁さんと俺にとって直球過ぎる質問。
なんで俺がこんなにバクバクするんだ。
仁さんが答える前に、ゴンさんが「いや、来てないよ」と否定した。
「仁は飲み会の後どうしたの?」
ゴンさんも挟み討ちするように仁さんに聞く。
運転し続ける仁さん。
「いや、全然記憶なくてさ」
そう苦し紛れに言って笑う。
どうしよう。
俺ん家に泊まってたってことにしないといけない。
どうしよう。
緊張感を持つ車内。
麻莉姉がチラッと斜め後ろの俺を見てくる。
「悠人ん家に泊まってたんじゃないの」
中高バスケ部だった俺は、なかなか気が重い。
適当に男女混合で練習して、チーム分けして試合。
終わったらみんなで飯食いに行くのが決まりだった。
仁さんの車の助手席に麻莉姉。
後部座席にゴンさんと俺。
ギュウギュウになって車に揺られる。
「今日何人くらい人集まんのかな」なんて適当な会話を繋ぎながら到着までの時間を潰していた。
「そういえばさ」と大きなゴンさんが俺に向かって口を開く。
「この間、俺ん家で飲んだじゃん」
その言葉が異様に車内に響いた。
「この間って」
「飲み会の後」
ゴンさんの呑気な声。
どうしよう。
気のせいか、仁さんと麻莉姉が珍しくおとなしい。
聞き耳を立ててるようにも感じる。
「はい」
「あん時、龍平が言ってた動画、見つけたのよ」
「ああ、なんか言ってましたね、そういえば」
そう返事しながら頭の中がパニックになる。
どうしよう。
飲み会の後は、仁さんは俺の家に泊まってるってことになってる。
なぜか俺が唾を飲んだ。
麻莉姉が隣の仁さんの方を見る。
「仁もゴンさん家行ってたの?」
やばい。
今の仁さんと俺にとって直球過ぎる質問。
なんで俺がこんなにバクバクするんだ。
仁さんが答える前に、ゴンさんが「いや、来てないよ」と否定した。
「仁は飲み会の後どうしたの?」
ゴンさんも挟み討ちするように仁さんに聞く。
運転し続ける仁さん。
「いや、全然記憶なくてさ」
そう苦し紛れに言って笑う。
どうしよう。
俺ん家に泊まってたってことにしないといけない。
どうしよう。
緊張感を持つ車内。
麻莉姉がチラッと斜め後ろの俺を見てくる。
「悠人ん家に泊まってたんじゃないの」