綾取る僕ら
「はーい」

えっ。

綾香は仁さんの後ろを付いていく。

またこのパターンかよ。
何度も二人っきりにしていいわけがない。

俺はやっと立ち上がる。

「俺が行きます」
「いいよ、二人で行ってくるから」

仁さんにサクッと断られた。

なんだよ、なんで麻莉姉がいながら綾香のこと構うんだよ。

「なんか欲しいものあったら連絡くださーい」

綾香もそう言うと、ピョコピョコと部屋を出て行く。

足はすっかり良くなったようだ。

なんであの時も、もっと強引に行けなかったんだろう。
俺がペア組んでたのに。

って言っても、まだ免許ない俺は病院に連れて行けなかったけど。

バタン、と虚しい音が響く。

「また麻莉乃と喧嘩になりそうだよな」

ドアが閉じられたのを確認してゴンさんが笑う。

「別れんじゃねーかな」

龍平さんが言った。

「別れるわけないじゃないですか、あの二人が」

俺はただ願望を述べて、また漫画に視線を落とした。
なんで俺はカッコよくないんだろう。

ずっと隣をキープしてきてるのに。
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