綾取る僕ら
コンビニで適当にお酒を買い込んでゴンさん家に戻る。

「買ってきたよー」

賑やかな部屋に仁さんのいつもの声が響いた。
私はほぼ無言で後に続いて部屋に上がる。

「おー、ありがとー」

ゴンさんの声が返ってきた。
視線はテレビ画面に向けられたまま。

コンビニ行ってる間に悠人もゲームに混ざってて、ベッド前のスペースには漫画本だけが積み上がった状態でガランとなっている。

「ここ置いときますねー」

適当にお酒を2本だけ端に追いやられたテーブルの上に置いて、残りを冷蔵庫にしまいにいく。

冷蔵庫を開けると、本当に何もなくて驚く。
ゴンさんは普段何を食べてんだろ?

そんなことを考えながら冷蔵庫のドアを閉めると、背後からグレーのロンTを着た細長い腕が伸びてきた。

ゆっくりその腕を肩の方へなぞるように視線を移すと、その横顔に突き当たる。

何を考えてるんだろう、そんな目をして私を見る。

ゆっくりと顔が近づいてきた。

BGMは賑やかで延々と鳴り響くゲームの音楽。
ゴンさんと龍平さんの笑い声。

冷蔵庫のひんやりとした触感を背もたれに、仁さんに挟まれるように立つ。

暗くて細い、玄関前の台所。

憧れの人とキスをした。
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