綾取る僕ら
電車を降りると、お尻が痛くなるほどカチカチに固くなっていた。
悠人が仁さんとの電話を終わらせて私の方に向かってくる。

「今、道の駅にいて駅前まで迎えに来てくれるって」

合流。

ホッとしたような、かえって気が引き締まるような。

「よく寝た?」と私の顔を覗き込んでくる。

「うん、気持ちよかった」
「そっか」

私たちは改札を出た。

さすが観光名所。
賑やかにお土産を売りさばこうとする店たち。
観光案内所。
迷いそうなほどのバス・タクシーの案内。
大きな地図のパネル。

三連休の初日、人が多い。

「なんか二人で来たみたいだね」

私が言うと悠人の表情は「?」になっている。

あの仁さんの車だったらサークルの合宿なのに、不思議だ。
二人の旅行みたい。

「なんか買わなくていいの」

悠人がお土産売り場を通り過ぎながら言う。

「誰に買ってくの」
「だね」

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