綾取る僕ら
寝不足だった。
今朝、朝食会場で悠人を見た時、正視できない自分がいた。
悠人を見ると照れるような、胸がくすぐったいような。

この会場に来ても、いつもなら悠人の方から声かけてきそうなものなのに、全然かけてきてくれない。

あれ、もしかして私たちミスった?
悠人なら、何かあっても何事もなかったように過ごしてくれたから、そこに期待したのに。

一緒に受付した穂乃果と少し後ろの方に並ぶ。
周りはみんな同じくらいこだわりのないような人たちばかりだ。

ピストルの音が遥か遠くで小さく鳴ったけど、まだまだ動けそうにない。

「あー始まったね」

穂乃果が言う。

「適当に走ろ」

私もまた適当に返した。

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