綾取る僕ら
走り終わって、一人豚汁を飲みながらみんなの帰りを待っていた。

俺はサークル内1位だった。

続々と先輩たちがゴールする。
仁さんとゴンさんの姿はまだない。

龍平さんが疲れたように俺のとこに向かってきた。

「何位?」
「全体で56位でした」
「はやっ!」

龍平さんは驚きながら自分の158位という札を見せてくれた。

「俺、長距離得意なんすよー」

そんな風に立ち話してた時、サークル内女子1位がゴールした。
麻莉姉だ。

仁さんより早かった。

元カレを追い越すなんて負けず嫌いの麻莉姉らしい。

フラフラと息を上げて俺と龍平さんのところに向かってきた。

「おつかれー」と龍平さんが迎える。

「最後の坂キツかったー」
「坂やっばいっすよね」

麻莉姉がその場にしゃがみ込む。

「彼氏置いてきたの?」

何も知らない龍平さんの言葉に、麻莉姉はギロッと睨みの目を向けた。

「は?なに?昨日の喧嘩?」

龍平さんは慌てたように笑って返す。

「もう彼氏じゃないんですけど」

麻莉姉の言葉に龍平さんは半笑いで固まった。
やべえ。
既に知ってただけに反応に困る俺は、何も言うことができない。

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