綾取る僕ら
「じゃあ、まだ俺たちしか知らないんだ?」
「ですね」

ゴンさんはもう4年だから基本的にゼミのない日は来ない。
でも今いたとしても同じような反応をしただろう。

少し仁さんと目が合った。

「やったじゃん」

仁さんからのはなむけの言葉。
綾香と仁さんの間に何があったかなんて知りたくないけど、俺は兄弟ともライバルとも思いたくない。
比べるつもりも全然ない。
普通に大好きな先輩のままだった。

「いいなー、俺もそういう恋がしてえなー」
「お前、麻梨乃に聞かれたら刺されるぞ」

龍平さんの言葉を仁さんは笑い流す。

「思いっきり誰かを好きになりてえよ」

仁さんが切なそうにこぼす。

「仁さんは一生ないかもですね」
「俺も自分でそう思う」

そう言って、笑顔でため息を深く吐く。
笑顔なのに、仁さんの涙が溶けているようだった。

「お前たちは俺と麻梨乃っぽくなるなよ」

そう言って俺に笑顔を向ける。

「絶対なりたくないですよ」

俺は笑い飛ばした。
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