◇君恋◇
すれ違った女子のほとんどが
龍也を見るたびに顔を赤くする。
口には出さないけと実はそれに嫉妬する自分がいたりする。
「どこに行きたい?」
そんなことを私が考えてるなんて知らない龍也は
何も知らない顔で言う。
知らないのも当然だけどね。
「ジェットコースターがいい!」
絶叫系が得意とは言えないけどわりと私は好きだった。
「わかった。なら行くぞ」
龍也は絶叫系大丈夫かな?
大丈夫だよね。
苦手な顔じゃないもん。
そして私たちはまた長い列に並んだ。
自分たちの順番。
運良く?私たちは一番前だった。
いざ乗ってみるとなんだか怖くなってきた。
ヤバい。本当に怖くなってきた。
久しぶりだからかな?
私は少し手が震えていた。
龍也はそれに気づいたのだろうか
私の手をそっと握ってくれた。
するとさっきの恐怖が嘘みたいに
いっきに不安が消えた。
「ありがと…」
私は龍也に聞こえるか聞こえないかの声で感謝の気持ちを伝えた。
龍也は聞こえていたのだろうか
手を握る力が少し強くなった気がした。
そしてジェットコースターは発進。
乗ってみて思ったけど
やっぱり私ジェットコースター苦手かもしれない。
よくよく考えると遊園地なんて一度か二度しか来たことないもんね。