◇君恋◇
ジェットコースターから降りると
「お前な、苦手なのに乗ろうとするな」
不機嫌そうにズボンのポケットに手を突っ込む。
「ごめんなさい…」
本当に迷惑をかけちゃった。
私ったら本当にダメ人間。
「それよりも、次あれ行かないか?」
龍也の指差す方向を見る。
ゾクリ
一気に背中の上を何かが走り抜けた。
そこには
“ホラーハウス”
と書かれた看板があった。
簡単に言うとお化け屋敷だよね?
私のだいっ嫌いなお化け屋敷。
そこに龍也は行こうと?
「いいだろ?さっきジェットコースター乗ったんだし。まさか怖いのか?(笑)」
龍也は不気味に笑った。
多分…
龍也わかってる。
私がお化け屋敷無理なのわかってる!
「どうしても?」
「どうしても」
「わかった」
私は震える手で龍也の服を掴んだ。
「そこじゃないだろ」
そう言って私の手をとり
ギュッと握ってくれた。
ああ、今日何度目の安心だろう。
なんだかお化け屋敷も大丈夫な気がしてきた。