◇君恋◇
「しょうがねーな」
そう言うと龍也は私を抱きしめた。
誰に見られるかわからないこの場所で。
運よくここは人があまりいない場所だけど
ここは遊園地いつ人がくるかはわからない。
私はそれだけでドキドキが止まらなかった。
でも龍也が抱きしめてくれたことで
震えが止まったのは事実。
「ありが…と…ぅ」
私は震えた声で言った。
龍也はそれに答えるかのように腕の力を強くした。
しばらくして龍也の体が私から離れる。
「とりあえず座るか」
私たちは近くにあったベンチに座ることにした。
それにしても本当にここは誰もこない。
遊園地だよねここ?
龍也も同じ気持ちだったのだろう
「ここ誰も来ねえな」
1人ボソッと呟いた。
そしてその言葉が私の鼓動を少し速くした。
よく考えると2人きりってことだから。
そんなことを考えるもんだから
余計に鼓動は速くなる。
龍也に音が聞こえるんじゃないかと思った。