◇君恋◇



龍也はというと

そんな私の不安をよそに急に膝を触りだした。



「っ…ちょっ…」



私はなんだか変な気分になる。



嫌だ…こんなとこで



「どうした?膝触ってるだけだぞ?」

「触っ…んな…くて…ぃいっ」



龍也は簡単に言うけど

絶対にわざと言っている。



本当に本当に

変態!

そして

ドS!



私は心の中で思いっきり叫んでやった。

龍也も手を止め立ち上がる。



「どっか行くぞ」

「うん」



私は龍也の手を握り再び人ごみへと向かっていった。



それから時間は過ぎあっというまに7時過ぎ。



「最後はあれに乗ってから帰るか」



龍也が指差したのは大きな観覧車。

私も乗りたいと思っていたので



「うん!」



笑顔で返事をした。



その瞬間龍也がフッと笑ったことに

私は全く気づかなかった。





< 108 / 131 >

この作品をシェア

pagetop